命売りますメイキング

【動画あり】 命のために体を動かす 田中泯さん「命売ります」インタビュー

20180104_inochiurimasu_01.jpg


三島由紀夫原作『命売ります』がBSジャパンにてドラマ化が決定し2018年1月13日より放送されます。三島文学の中では数少ないエンターテインメント要素が多い作品ではないしょうか。しかしながら、コミカルな要素がある反面、生と死ついての深い考察、主人公の次第に変化する心理的な描写は見応え抜群です。


1968年に始まった小説『命売ります』は近年再度売れ行きが増しています。ついには今回のドラマで取り上げられることに。50年という時代を経て尚も受け入れられる本作品の魅力はどんなところにあるのでしょう。


まずはオープニングの収録に立ち会ってきたのでメイキングをご覧ください。


~ストーリー~
自分の人生行く先を悟ってしまった男が始めたのは、"命を売ること"
"命を売る男"と"企みをもつ依頼人たち"との駆け引きは、毎回思わぬ展開へ......!!
「また、今回も死ねなかった・・・・」"死にたい"と思っていた男は、死の淵に立たされた瞬間、
"生きたい"という人間の持つ本能的欲求に、皮肉にも目覚めていくのです。「生」への執着心、渇望、「生きる」ということ―。命を軽んじていた男が、命の重さを突きつけられる、山あり谷ありジェットコースター展開!先の読めない究極の人間ドラマ!


まず最初の依頼人岸宗一郎演じる田中泯さんにお話をお伺いしてきました。田中泯さんと言えば舞踊家として世界で活躍しておられます。そんな泯さんがオープニングでダンスを披露されるということで読むBSジャパン編集部では現場に潜入しメイキングの撮影とインタビューを敢行しました。


20180104_inochiurimasu_02.jpg


----作品に対する感想をお聞かせください。


よくこの時期にこの作品を取り上げたなと思います。これはボク個人の意見ですけれども、時代は前に前に進んでいるように思えるけど人間の本質は恐らく古代からあまり変わっていないんじゃないかと言う感じがしますね。


----死にたがる、命を売りたがる山田羽仁男をどう思いますか?


多かれ少なから誰でもふとした瞬間になったことのある感情なんじゃないでしょうか。あまり特別なことじゃないような気がしますね。ただそれを"売る"という行為に横滑りしたわけですよね。これが現代のそのもの、時代そのものという事なんじゃないですかね。彼のように命を売るという行為を宣伝したりしてはいないけど実際に命を売り買いもしているのが人間社会じゃないですか。もっと言うと場所によっては実際に命の売り買いを堂々とされて来たわけですから。男は女を買い、それも堂々とやっているわけです。実際に人間社会の根底に現存しているので個人がやって何が悪い、という風にも開き直ることも出来ますよね。


20180104_inochiurimasu_03.jpg


----命を売るということだけ切り出すと特異に見えても歴史や世界を見渡すとそう特異とも言い切れないかもしれませんね。


そうです。むしろ大概のことはそうなんです。実際に世界の人間がやってきたことを考えるとそんな特別なことはないです。もっと残酷なことはいくらでもあるんじゃないでしょうか。


----ご自身が演じられる岸宗一郎という役柄に関しては如何でしょうか。


ああいう人いるでしょうね。知らなければ知らないで良いんでしょうが知ってしまうとどんどん引きこまれてしまうことだらけじゃないですか。どうしようもなく異常な世の中の部分ってあると思いますよ。


20180104_inochiurimasu_04.jpg


----表現行為としてダンスと俳優とはどう違うのですか?


俳優は一つの事を演じますよね、ダンスというのはそうではなくその都度都度、あるいは踊っている瞬間にもキャラクターが変わっていくというんでしょうか。


要するにずっと自分でいる必要のない表現なんですね。だから神がかりになるのか。私にとっては恐山のイタコさんもダンスなんですよね。だいたいシャーマンがダンスの先輩だと思っているので。だから自分の体を簡単に明け渡すことが出来る人がダンサーだなと思いますね。


多くのはやりのダンスは自分、自分、自分と表現の主体者が自分なんですよね。それはレクリエーション的なものが始まりなんですよ。本当のダンスは恐らくそういうものではないという風に思いますね。一つの役柄を突き詰めていく演劇とダンスはそういったところが違いますね。そもそもダンスは言葉を前提としていないのが決定的な違いですかね。


----今日踊られた感想はいかがでしょうか。


色々踊りましたがそれをどう映像にしてもらってもどうぞどうぞという気持ちです。私が踊ったとおりに表現しなくても映像をどう使っていただいても構いません。それが結果必要なダンスになっていればうれしいですね。


20180104_inochiurimasu_05.jpg


----ダンスは内から出るものが表現されるということですが今日はどんな想いを表現されましたか。


思い切って言えば原作の三島由紀夫さんの想い。この作品に対する想いみたいなものがボクの心のなかに上手く移動してくれれば多分それでいいんだろうなと思って踊りました。三島さんが想っていたであろう世の中に対する苛立ちや怒りやそんなものが出来たら良いなと思いました。どんなに強がって見せても時にめげそうなくらい悲しくなったりするんだろうと思うんです。強い人って子供みたいに弱いですから。それを見せないだけですから。そういったところも出せたら良いなと想っていました。


20180104_inochiurimasu_06.jpg


----あれだけ激しい踊りをするために普段何かされていますか?


毎日とにかく何かで体を動かして生きていくことがボクにとって一番楽しい人生なんで、ボクにとってレクリエーションじゃなく仕事で体を動かす。それはお金のためではなく私という命のために体を動かす事を仕事にしているんです。毎日踊っているだけじゃなくて一日大工仕事して体中あちこち痛くなったりするのでも満足なんです。とにかくじっとしていることはないですね。ボクは座って物を考えるのが苦手なんです。動いているとイメージが湧いてくるんです。


踊りはわからなくて良いんですよ、自分の中に踊りというものがあると思います。観念で踊りは苦手って言っているだけであってそういうタイミングに出会ってないだけですよ。踊りにはこうでなければというものはないですから。こうすると踊りじゃないとかリズムに合わせないと踊りじゃないとか全くないです。踊りというのは本人が自発的に生み出すものです。


----踊りとはとても自由なのですね。わかりやすくするために敢えて"踊り"を定義づけるとどうなりますか?


言葉になる前に夢中になって動くこと、何かを伝えたいが言葉ではムリなことを体を使って表現すること、でしょうか。


一つ一つの言葉が思慮深いけれど、とてもわかりやすくご説明くださいました。オープニングのダイナミックなダンスもこのような想いがあることを知ると少し違って見えるかもしれません。またドラマに関しても設定が自分ゴト化しづらい非日常を思わせますが泯さんの話を聞いていると決して非日常ではない人間社会の根底にあるものだと感じます。常日頃意識していないだけでふとした時に訪れる刹那の感情。気付かず通り過ぎているだけで誰にでもある感情。そう思って見るとドラマに入りやすくなると思います。


男は悪く、女はエロく、人間の本質に迫る極上のエンターテインメント「命売ります」是非お楽しみください。

【番組タイトル】連続ドラマJ 三島由紀夫「命売ります」
【放送局】 BSジャパン BS7ch<全国無料放送>
【放送日時】 2018年1月13日(土)スタート 毎週土曜夜9時
【出演】 中村蒼、前田旺志郎、田口浩正、YOU、田中泯
【原作】 三島由紀夫『命売ります』(ちくま文庫)
【脚本】 小山正太、大林利江子、加藤公平、神田優
【監督】 金澤友也、河原瑶(4話、6話)、石井満梨奈(5話)
【番組ホームページ】http://www.bs-j.co.jp/inochiurimasu/
【公式ツイッター】https://twitter.com/BS7ch_Inochi