
ふらりと乗ったのは、高崎線。
夕陽に染まり始めた街で、人に出会い、酒に出会い、
青春のあの頃が突然目の前に現れる。
北本では鉄道マニアの情熱に引き込まれ、
高崎では高田渡ファンだという女性シンガーと意気投合、夜を徹しての即興ライブ。
長岡では、旅人の青春時代の映画仲間と会い、
熱き日々を振り返る。

直江津では、林芙美子を啓蒙する活動に触れ、
遠く故郷を離れ、この地で木工作家として生きる
男の姿に触れる。
駅弁大会でナンバーワンに輝いたという駅弁に
舌鼓を打ち、朝市では、農業を志す若い人々と、
彼らを温かく見守る91歳の農家のご主人と出会う。
富山では、地元を愛するカメラマ ンが撮った写真(ポートレート)に、
アメリカそして日本を代表するジャズのミュージシャンが居る事を見つけ、
珍しい魚市場の昼競りに売られていた紅ズワイガニを頬張る。
さらに、富山湾の恵みをふんだんに味わえる居酒屋へ…。
味わい深い夜汽車の旅の魅力を、旅人・大杉漣が全身で受け止めていく。